


「eスポーツ」という言葉を見聞きする機会は増えたものの、「そもそも何なのか」「本当にスポーツと呼べるのか」を説明できる人は意外と少ないものです。
- eスポーツの意味と、スポーツと呼べる理由
- 世界と日本の市場規模、代表的な種目
- 観戦や参加など、eスポーツの始め方
本記事を読めば、eスポーツについて知っておくと得する基礎知識が一通り身につき、子どもや同僚との会話にも自信を持って参加できるようになります。
ゲーム歴25年の筆者が専門用語はできるだけ使わず、わかりやすくお伝えしていきます。
eスポーツとは?意味をわかりやすく解説
「eスポーツ」は、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略称です。コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦を、ひとつの競技として捉える際の呼び方を指します。
この言葉が使われ始めたのは2000年頃とされ、韓国でeスポーツ団体(KeSPA)が設立された際に生まれた造語だと言われています。
その後、欧米や中国・韓国を中心に急速に広まり、日本でも徐々に浸透してきました。
JeSU(日本eスポーツ連合)が定める定義
日本国内では、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が、eスポーツと呼べるゲームの条件を次のように定めています。

つまり、単に対戦できるゲームというだけでなく、継続的に大会が開かれ、観客が集まる仕組みが整っていることが、eスポーツと呼ばれるための重要なポイントです。
「ゲーム」と「eスポーツ」の違い
普段私たちが楽しんでいる「ゲーム」は、多くの場合、娯楽や趣味として自由に楽しむものです。
一方で「eスポーツ」は、明確な勝敗のルールがあり、公平な条件のもとで技術や戦略を競い合うという点が異なります。


eスポーツはスポーツと言えるのか?賛否を紹介
eスポーツの普及が進む一方で、「本当にスポーツと呼べるのか?」という議論は今も続いています。
ここでは、賛成派・慎重派それぞれの見方を整理してみましょう。

「体を動かさないのになぜスポーツ?」という疑問の背景
最大の疑問は、「汗を流して体を動かすのがスポーツなのに、座ってゲームをするだけでスポーツと呼べるのか」という点です。
国内のある調査では、「eスポーツはスポーツだと思うか」との質問に、約8割近くが「そう思わない」と回答したというデータもあります。
2018年には、日本オリンピック委員会の理事が「健康を害する可能性があり、スポーツと認めるべきではない」という趣旨の発言をしたこともあり、慎重な見方は今も根強く残っています。
欧州スポーツ憲章の定義から見る考え方
視点を変えると、異なる見方もできます。ヨーロッパの「新ヨーロッパ・スポーツ憲章」は、スポーツを次のような活動と位置づけています。
- 体力の向上
- 精神的な充足感
- 社会的な関係づくり
- あらゆるレベルでの競技成績の追求
この定義に照らせば、eスポーツも技術や戦略を競い合い、観客と喜びや悔しさを共有するという点で共通します。
囲碁・将棋を「マインドスポーツ」、自動車レースを「モータースポーツ」と呼ぶように、「スポーツ」は身体運動だけを指す言葉ではなくなってきているとも言えるでしょう。
海外と日本での受け止め方の違い
海外と日本では、eスポーツの受け止め方に差があります。
| 項目 | 海外(米・韓・中など) | 日本 |
|---|---|---|
| プロゲーマーの位置づけ | アスリートとして広く認知 | 徐々に認知が進行中 |
| 国際大会での扱い | アジア競技大会で正式種目化、IOCがeスポーツシリーズを開催 | 2024年、JeSUがJOC準加盟団体として承認 |
| 世間の受け止め | スポーツとして定着 | 「スポーツかどうか」の議論が継続中 |
「スポーツと言えるかどうか」の結論はまだ割れていますが、国内外で徐々にスポーツとして認められる方向に進んでいるのが現状です。

eスポーツの市場規模は?世界と日本を比較
eスポーツが一時的なブームではなく本格的な産業になっているかどうかは、市場規模の数字を見るとよくわかります。
ここでは世界と日本、それぞれの市場規模を整理します。

世界のeスポーツ市場規模の推移
世界のeスポーツ市場規模は、調査会社によって算出方法が異なるため、発表される数字に幅があります。
プロリーグや大会運営の収益に絞った狭い定義では数億ドル規模、配信やモバイルゲーム連動の収益まで含めた広い定義では十億ドルを超える規模と、算出方法次第で数字が大きく変わってくるのが実情です。
とはいえ、いずれの調査でも年10〜20%台という高い成長率が共通して予測されており、世界的に着実な拡大を続けている点は間違いありません。
日本国内の市場規模と今後の予測

日本国内については、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が公表しているデータが最も信頼できる基準となります。
| 項目 | 2024年 | 2026年(予測) |
|---|---|---|
| 市場規模 | 約161億円(前年比9.9%増) | 200億円超え |
| eスポーツファン数 | 約967万人 | 約1,500万人 |
| 競技人口 | 約419万人 | ー |
JESUによれば、2020年以降市場規模は年平均10%前後で成長を続けており、2026年には200億円を超えると見込まれています。
ファン数についても、2026年には1,500万人に迫ると予測されており、着実に裾野が広がっていることがわかります。
市場拡大の背景にある要因
市場が拡大している背景には、いくつかの要因が重なっています。
- YouTubeやTwitchなど配信プラットフォームの普及により、観戦のハードルが下がったこと
- スポンサー収益への依存から、チケット収入やグッズ販売など収益源が多様化してきたこと
- KDDIやレッドブルなど、ゲーム業界以外の企業がスポンサーとして参入していること
- 学校教育や地域振興の一環として、eスポーツを取り入れる動きが広がっていること
こうした複数の要因が重なり合うことで、一時的なブームにとどまらない産業としての基盤が整いつつあると言えるでしょう。


eスポーツの種目・ジャンル一覧
ひと言で「eスポーツ」といっても、対象となるゲームのジャンルはさまざまです。
ここでは代表的な種目と、実際にどんなタイトルが競技として扱われているのかを見ていきましょう。

代表的な種目(ジャンル)
eスポーツとして扱われるゲームは、主に次のようなジャンルに分類されます。
| ジャンル | 特徴 |
|---|---|
| FPS/TPS | 一人称・三人称視点で撃ち合う対戦シューティング |
| MOBA | 複数人のチームに分かれ、拠点の破壊を目指す戦略ゲーム |
| 格闘ゲーム | 1対1で技を出し合い、相手の体力を削り合う対戦ゲーム |
| バトルロイヤル | 大人数が同時参加し、最後の1人(1チーム)を目指す形式 |
| スポーツゲーム | サッカーや野球など、実在のスポーツをモチーフにした対戦ゲーム |
| デジタルカードゲーム(DCG) | カードを使って戦略的に対戦するゲーム |
| パズルゲーム | 対戦相手より早くパズルを解く速さを競うゲーム |
各ジャンルの人気タイトル例
それぞれのジャンルには、大会でよく使われる代表的なタイトルがあります。
| ジャンル | 代表的なタイトル例 |
|---|---|
| FPS/TPS | Valorant、Counter-Strike、Apex Legends |
| MOBA | League of Legends、Dota2 |
| 格闘ゲーム | ストリートファイター、大乱闘スマッシュブラザーズ |
| バトルロイヤル | Fortnite |
| スポーツゲーム | eFootball、実況パワフルプロ野球 |
| デジタルカードゲーム(DCG) | シャドウバース、Hearthstone |
| パズルゲーム | ぷよぷよeスポーツ、TETRIS 99 |
もしかすると、この中にプレイしたことのあるタイトルが見つかった方もいるのではないでしょうか。実は身近なゲームも、立派なeスポーツの種目の一つなのです。
オリンピック・国際大会で採用が検討されている種目
eスポーツは、国際的なスポーツの舞台でも徐々に存在感を強めています。
- 2022年のアジア競技大会(杭州)では、eスポーツが正式なメダル種目として採用された
- 国際オリンピック委員会(IOC)は「オリンピックeスポーツシリーズ」を開催している
- 2024年には、日本eスポーツ連合が日本オリンピック委員会(JOC)の準加盟団体として承認された
- 国内の国民スポーツ大会でも、文化プログラムとしてeスポーツ大会が実施されている
将来的にオリンピックの正式種目としてeスポーツが採用されるかどうかは、暴力表現を含むゲームの扱いなど検討すべき課題も残っており、現時点では未定です。
それでも、国際的な競技の舞台にeスポーツが確実に浸透してきていることは間違いありません。

FPSの操作にまだ慣れていない方は、FPS初心者がまず覚えるべき5つの基本操作と練習法もあわせてチェックしてみてください。
eスポーツの歴史をざっくり解説
eスポーツは決して最近生まれた文化ではありません。ここでは、これまで触れてこなかった歴史の流れをざっくり振り返ってみましょう。

世界におけるeスポーツの始まり
コンピューターゲームの競技会自体は、実はかなり昔から存在していました。
最も古い記録とされるのが、1972年にアメリカのスタンフォード大学で開催された『スペースウォー!』の大会です。
1990年代後半になると、PCの普及とともに格闘ゲームなどの対戦人気が高まり、LANパーティーを通じて仲間内で腕を競い合う文化が広がっていきました。
そして2000年前後には、韓国や欧米を中心にeスポーツという言葉と概念が定着し、2000年には国際的な大会「WCGC(World Cyber Games Challenge)」も開催され、世界的な広がりを見せるようになります。
日本国内での広がりと転機
日本では、世界に比べてeスポーツの認知が遅れていました。
転機となったのは2007年、日本eスポーツ協会設立準備委員会が発足したことです。
その後2010年には日本人初のプロゲーマーが誕生し、2018年には一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立されたことで、国内の大会運営や環境整備が本格的に進み始めました。
eスポーツの今後の展望
ここまで見てきたように、eスポーツは半世紀以上の歴史を積み重ねながら、娯楽から競技へ、そして産業へと姿を変えてきました。
市場規模の拡大や国際大会での採用が進む今、その歩みはまだ途上にあります。

eスポーツを始めるには?観戦から参加まで
eスポーツがどんなものか分かってきたところで、最後は「実際にどう関わればいいのか」を見ていきましょう。プレイヤーとして本格的に始めるだけが関わり方ではありません。

まずは観戦から(配信サイトでの楽しみ方)
一番手軽な関わり方は、大会を観戦することです。
- YouTubeやTwitchなど配信サイトで無料放送されている大会が多い
- 実況・解説がつくことも多く、ルールを知らなくても楽しめる
- スマートフォンからでも視聴できるので、場所を選ばない
まずは気になる大会をのぞいてみるところから始めてみましょう。
大会に参加してみる方法(アマチュア大会・オンライン参加)
「自分もプレイしてみたい」と思ったら、アマチュア向けの大会から挑戦してみましょう。
- 「JCG」など大会エントリープラットフォームを使えば、プロライセンスや実績がなくても無料で参加できる
- シャドウバースやポケモンユナイトなど、スマホやNintendo Switchで気軽に遊べるタイトルも多い
- 特別な機材を用意しなくても、今持っているデバイスで始めやすい
上達を目指すなら意識したいこと
本格的に上達を目指すなら、次のポイントを意識してみてください。
- 一つのタイトルを継続してプレイする
- プロの試合や配信を見て、戦略の立て方を学ぶ
- 同じ目標を持つプレイヤーが集まるコミュニティに参加する

特に学生の方は、eスポーツ学生大会の参加方法・賞金を徹底解説も参考にしてみてください。
まとめ
ここまで、eスポーツについての基礎知識を一通り解説してきました。
改めてポイントを振り返ってみましょう。
- eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、JeSUが定める条件を満たした対戦ゲームを指す
- 「スポーツと言えるか」は意見が分かれるが、世界的にはスポーツとして扱う動きが広がっている
- 市場規模は日本国内で200億円超え、世界でも成長を続けている
- 種目はFPSやMOBA、格闘ゲームなど幅広く、身近なタイトルも多い
- 歴史は1970年代のコンピューターゲーム大会にさかのぼる
- 始めるなら、まずは観戦から気軽に触れてみるのがおすすめ


eスポーツの世界は、知れば知るほど奥が深く、市場も種目も今なお広がり続けています。
テレビや職場で「eスポーツ」という言葉を耳にしたときに、この記事の内容を思い出していただければ嬉しいです。
まずは気になる大会を一つ、観戦するところから始めてみてはいかがでしょうか?









